
よく「SNSの沼」という言葉を耳にしますが、私自身、それを身をもって実感することがあります。それは、Instagramのショート動画です。
意外に思われるかもしれませんが、私がついつい見入ってしまうのは「料理のレシピ動画」です。「こんなに簡単に、こんなに美味しく」という動画が次々と流れてくるため、時間を忘れていつまでも見てしまいます。「これも作りたい、あれも作りたい」と見ているうちに、最初の方は覚えていなくて、後から検索しようとしてもお目当ての動画にたどり着けません。時間を溶かすとはこのことだと思います。
さて、私の料理スタイルですが、レシピ通りにきっちり作ることではありません。色々なレシピをざっと眺めて「だいたいこんな感じか」という大枠(最大公約数のようなもの)を自分なりに捉え、あとは冷蔵庫にあるもの作ってしまうのがいつものパターンです。そのため、人から「何を作ったの?」と聞かれても、「肉じゃが」のような一般的な料理名で答えることができません。作った工程を最初からすべて説明するしかなく、相手に「それで、結局それは何なの?」という顔をされてしまいます。
最近も、「クッキングシートで食材を包み、フライパンで蒸し焼きにする」という動画に惹かれ、作ろうと思って色々なレシピを見ていました。しかし、またしてもSNSの沼にハマってしまい、どう作ればいいか分からなくなってしまったのです。
そこで、生成AI(Gemini)に聞いてみることにしました。やってみて気が付いたのは Gemini はWeb上の膨大な情報を反映しているため、私が今まで自力でやっていた「色々な情報から大枠や最大公約数をつかむ」という作業を最初からやってくれているように思いました。
便利な一方で、これは料理研究家の方々にとっては、死活問題とも感じたのです。彼らが試行錯誤の末に生み出したこだわりのレシピも、AIにあっさりと取り込まれ、他のレシピと掛け合わされて「その次」として出力されてしまうからです。
この状況に直面したとき、ふと将棋界のある言葉を思い出しました。 かつて将棋界には、誰も思いつかなかった新しい手を考案すれば「一生食べていける」という意味の「新手一生(しんていっしょう)」という言葉があったそうです。しかし現代では、その意味が「一生(生涯)食える」から「たった1回(一勝)しか勝てない」という「新手一勝」に変わってしまっていると聞きます。研究スピードが早まり、新しい手を披露しても、すぐにAIや他の棋士に分析されて消耗品のように消費されてしまう、厳しい現実を表した言葉です。料理のレシピも、これと全く同じ道をたどっているのではないでしょうか。自分が料理研究家として画期的なアイデアを発明しても、瞬時に世界中に広まり、消費されてしまう。 将棋界の「新手一生」の話を聞いたときは他人事で理解出来なかったけれど、レシピだと理解できます。この変化は良し悪しの問題じゃなく、受け入れるか入れないかの問題だと思っています。
そんなことより、時間を溶かす悪癖を治さないとです。走るときまでスマホで音楽を聴いているぐらいだから、このままだと「スマホ一生」になってしまう。
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