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20240706 オススメの本

今日は、鍼灸師の私からオススメの本を三冊紹介します。私の古い友人の話ですが、誰かの家に遊びに行くと必ず本棚をチェックするとのことでした(ちょっと怖い)。ただ、その人が読んだ本はその人の一部なので、自分を知ってもらいたいのなら、オススメの本を紹介するのが一番手っ取り早いと考えました。

第三位


腰痛探検家 (高野 秀行)。私はこの人の本が大好きでして。どれも面白いのだけれど、鍼灸師としてオススメしたいのがこちら。著者は一風変わった探検家で(どう変わっているかは読んで欲しい)世界中を旅しているが、あるときスポーツをきっかけにぎっくり腰を発症しました。その予後がよろしくない。色んな治療を試す様子が探検のようなのでこんな題名になりました(と推測します)。色んな治療の中にはもちろん鍼灸もあります。鍼灸を試して治ったのであれば、鍼灸師としても鼻高々なのですが・・・。私自身、ぎっくり腰を経験したことが大きいのだけでも数回あります。数日もしたら落ち着くので大したことない部類なのですが、痛みで寝れない夜は頭がおかしくなるかと本気で思ったくらいで、私なりに腰痛の苦しみは理解しているつもりです。筆者は様々な腰痛治療を試す様子を迷宮に例えています。(共感できる)。筆者は本当に色んな医療機関を渡り歩いて最後は日常に戻るのですが、どうやって治ったのか、気になりませんか?ヒントは患者さん視点からは意外に思うが、治療家視点で言えば想定内です。慢性腰痛にお悩みの方は是非読んでみてください。

第二位


腰痛放浪記 椅子がこわい(夏樹静子)。腰痛探検家と合わせて読んでもらいたい本です。あまり知られていませんが、あのミステリー作家の夏樹静子さんは腰痛に悩んでいたそうです。痛みに振り回されて自殺したくなるほど悩んでいた時期もあったそうです。この本は、「本業のミステリーより面白い」と面と向かって本人に言う人がいたくらい面白い本です(失礼ですよね)。「腰痛探検家」と同様に色んな治療を試す中、最終的には心療内科を受診することで改善します。心療内科とは何か、慢性腰痛とは何かを教えてくれる名著です。私は鍼灸師なので、心療内科と同じアプローチはできないのだけれど、参考に出来ることは沢山あると思いました。話は脱線するけれど、夏樹静子さんのダンナ様(某有名会社の社長)が素敵だった。そちらも含めて勉強になりました。「慢性的な痛みは生物医学モデルではなく生物心理社会モデルで捉える」、という文の意味を知るために、この本を読むことをおすすめします。最後に腰痛の原因が分かるのですが、その原因が何だったのか気になりませんか?この本の中には「長年の腰痛がたった一回の治療で」と私が決して言わない理由がかみ砕いて書いてあります。是非読んでみてください。

第一位


最後にオススメはこんな夜更けにバナナかよ(渡辺一史)です。映画化されたので知っている人は多いかと思います。私は映画は見ていないけれど、本は何回も読みました。筋肉が動かなくなる難病・筋ジストロフィーの主人公がボランティアスタッフを自分で集めて医療機関を離れて自宅で生活するノンフィクション。この本の素晴らしいところは難病の主人公が魅力たっぷりに書かれていると同時に決して聖人君子ではなく欠点も強烈にあるし、人を傷つけた様子も書かれてあるところだと思います。主人公の家族からはその点で批判を受けたそうですが(家族の気持ちも当然だと思います。自分だったら不愉快だったと思います)、でもやっぱり、そこがこの本の良いところだと私は思います。(理由は長くなるので別の機会で)私がボランティアをするようになったキッカケの本です。主人公はボランティアスタッフに支えられて生きましたが、同時に多くの人に影響を与えたと思います。聖書の言葉で「一粒の麦は、落ちて死ななければ、一粒のままである。だが、死ねば、多くの実を結ぶ」というのがありますが、私も影響を受けた一人です。生きるとは、死ぬとは、障がいとは、健常者とは、仕事とは、福祉とは、支えあうとは、そういったことが書かれている名著です。一つでも気になるワードがあれば呼んでみてください。

以上三冊。どれも読みやすいし、考えさせられます。私のバックボーン的な三冊です。読書感想をお待ちしています

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