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気象変化と痛み

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気象変化と痛み

初めに

慢性痛の患者さんの多くは雨が苦手です。今でも思い込みだという人は根強くいますが、それに対して科学的にアプローチで反論したのがこの文献です。十年近く前の文献ですが、とても面白かったので共有します。痛みと天気と交感神経の複雑さが分かりやすく書かれています。


気象病とは

気象要素(気圧、温度、湿度など)による悪影響を受ける疾患を「気象病」と呼びます。天気が崩れるときに慢性の痛みが増強する「天気痛」が代表的な症状です。特に関節リウマチ、片頭痛、腰痛、線維筋痛症に伴う痛みが天気の変化に敏感であると報告されています。

概要


この文献では著者は天気痛有訴者を人工低気圧環境において天気痛症状が出ることを確認することで、天気痛を再現しています。低気圧環境で交感神経が興奮することや交感神経を摘出することで天気痛症状が消失することを動物実験で確認することで、天気痛による痛みに交感神経が関与しているとしています。
動物実験で内耳破戒ラットを用意すると、痛み症状が出ないことを確認したことから、気圧検出に内耳が関与している可能性が高いことを確認。天気痛有訴者は内耳の感受性が高いことも確認。慢性痛患者のなかで天気痛がある人とない人を比べると、天気痛がない慢性痛患者の内耳の感受性が健康な人と同じことがわかった。以上のことから、低気圧が原因で痛みが出る患者さんは、内耳の感受性が高いことで交感神経が興奮して痛みがでることが確認されています。
この文献では温度変化による痛みについても記述があります。神経障害疼痛をもつ患者の多くは冷えで痛みが増すと訴えます。この場合、冷えることで交感神経が興奮することは確認されたけれど、交感神経を除去しても、痛みの抑制が確認されなかったことから、交感神経は必ずしも重要ではないことが指摘されています。

まとめ

天気が悪くなった時に気圧と気温が下がると痛みは強くなることが確認されたが、気圧低下による痛み増強に交感神経が関与するけれど、気温低下による痛み増強に交感神経は関与しない。これだけでも十分複雑なのだが、気圧の低下による痛みの増強に交感神経の感受性が高いわけではなく、気圧センサーの感受性が高いことや、慢性疼痛患者が気圧センサーの感受性が高いわけではないと指摘されていたり、一読しただけでは理解出来ませんでした。ただ、これはあくまで動物実験レベルなので、人間だともっと複雑だと考えられます。動物実験で確認されたことが、どこまで人間にも当てはまるかは注意が必要なので、例えば、慢性疼痛患者のなかには痛みが慢性化することで気圧センサーの感受性が高くなることもあるかもしれません(個人的な感想)。いずれにしても、天気が悪くなることで痛みが出ること自体は間違いかと思います。その際は暖かい恰好でリラックスすることが有効であると考えられます。鍼灸院でお待ちしています。

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