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肩の運動療法の基本と実際

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肩関節周囲炎について

  • 肩関節周囲炎は、炎症反応の進行と収束、瘢痕変性、二次性拘縮を経て凍結状態に至る。病期に応じた介入が提案されています。
  • 運動療法の基本 痛みを伴わない運動で可動域を維持し、炎症を悪化させないことが重要です。拘縮完成期には新陳代謝を高めることが推奨されています。
  • 整形外科的治療 関節造影時のディステンションや全身麻酔下でのマニピュレーションが行われることがあります。

炎症期


肩関節周囲炎は小さな炎症をキッカケにしていると考えられている。炎症反応が進行した結果、瘢痕が変性した場合、凍結状態に至ると考えられている。上肢の重みだけでも起こりうる可能性が高い。痛みがあるときは痛みを無視しないことが大事。炎症反応は回復する過程で必要な反応だが、炎症に拍車をかけることは避けること。痛みがあるときの運動は可動域の維持を目的として、可動域の拡大は狙わないこと。

炎症収束期


痛みが緩和してから修復期(瘢痕化)が始まる炎症が遅延するとそれだけ瘢痕組織が増えて凍結に至る原因になる。痛みを伴うストレッチは行わない。

拘縮完成期


伸張性が乏しい瘢痕組織が凍結肩の原因となる。全身麻酔かに置いても可動域は変わらないくらい癒着が強固である。ストレッチに対する反応性はない。血液循環や新陳代謝を高めることを優先する。

拘縮解凍期


変化が見られなかった拘縮がゆっくり良くなる。変紺組織が柔軟性を取り戻す機序については不明。拘縮完成期と違い即時変化を狙ったストレッチを積極的に行う。

腱板断裂に関して

  • 種類と症状 腱板断裂は部分断裂から全断裂まで様々です。症状も広範囲で、激しい痛みや腕を上げるのが困難な場合から、大きな物を持ち上げることができる場合まであります。
  • 保存療法 治療の第一選択は通常保存療法です。これは、残存する腱板筋や外側筋を強化し、新しい力のカップルを形成することで、痛みのない挙上機能を達成することを目指します。
  • 可動域 挙上動作中の肩峰下インピンジメントを防ぐために、良好な可動域を維持することが重要です。断裂した腱に過負荷をかけずに筋肉を強化するための特定の運動が推奨されています。
  • 生体力学的アプローチ 生体力学的モデルを使用して、棘上筋腱のみが断裂している場合、他の筋肉を約20%強化することで挙上機能を維持できると提案されています。

私なりの感想と鍼灸院として出来ることについて

鍼灸治療は、痛みの軽減や炎症の抑制、筋肉の緊張緩和に優れています。具体的には、鍼を使用して肩周辺のツボや筋肉に刺激を与えることで、血流を改善し、自然治癒力を高めます。また、灸を用いた治療も行われ、患部を温めることで血行を促進し、痛みを和らげる効果があります。鍼灸院での治療は、薬に頼らずに自然な方法で肩の問題を解決したいと考える方にとって、非常に有効な選択肢と考えます。肩関節周囲炎が進行した際の凍結肩の原因とされる肩関節の瘢痕組織の癒着について手術だったり、麻酔下で行う操作が必要であり、これについては鍼灸院に出来る範疇を超えていると思います。ただ、肩の動きをかばうことで出来る肩以外のハリや痛みに対して治療を行うことが出来るのは鍼灸院の強みだと考えています。

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