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肩関節周囲炎 理学療法診療ガイドライン

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肩関節周囲炎とは

  • 肩関節周囲炎の定義:肩関節周囲炎は「五十肩」とも呼ばれ、肩関節の痛みと可動域制限を特徴とする病態です。国外では「Frozen shoulder」や「Adhesive capsulitis」と同義語とされています。
  • 疫学とリスクファクター: 主に40~70代に発症し、糖尿病や甲状腺疾患がリスクファクターとして挙げられます。
  • 理学療法評価: 肩関節の可動域や触診、筋電図・動作解析などが評価方法として使用されます。
  • 理学療法介入: 一般理学療法、運動療法、物理療法、併用療法の4つに分類され、各療法の効果や推奨度が示されています。

肩関節周囲炎のリスク

  • 糖尿病: 特にインスリン依存型で発症率が高い。(糖尿病は高血糖状態を通じて結合組織の硬化や微小血管障害、慢性炎症、コラーゲン代謝の異常などを引き起こし、肩関節周囲炎のリスクを高めると言われている。
  • 甲状腺疾患: 甲状腺疾患は代謝異常、結合組織の変性、炎症反応の変化、自律神経系の影響を通じて肩関節周囲炎のリスクを高めると言われている。
  • 血中脂質高値: 血中脂質高値(高脂血症)は、血流障害、慢性炎症を通じて肩関節周囲炎のリスクを高めると考えられます。
  • 座業(デスクワーク): 運動不足に関連するものが多いようです。

この文献では、先ず「肩関節周囲炎」の定義について説明されています。「肩関節周囲炎」と「五十肩」についてほぼ同義語だと説明している。「なにかしらの関節内炎症によって肩関節に強い痛みを生じ,次第に肩関節の可動域制限が生じていく後に,疼痛が軽減して拘縮だけが残り,そして拘縮も経過とともに改善していく」病気と説明されています。文献的には疼痛,可動域制限の順で改善していくまで 12 ~ 42 ヵ月要するとされている。

理学所見


関節可動域の測定だけで原因を導き出すのは困難なため可動域測定は推奨が低いとされている。交感神経の作用低下のため皮膚温が低下する傾向があると報告がある。烏口突起に圧痛がある(病態と直接関与するのか二次的なものなのかは不明)。 肩関節運動における肩関節周囲炎の特徴は上肢挙上運動時に肩甲骨の上方回旋が代償的に大きくなることが挙げられる。

画像所見 


画像検査は腱板断裂の有無や石灰沈着性腱板炎、腫瘍との鑑別に使用される。関節包腋窩部や腱板疎部,烏口肩峰靭帯の肥厚,関節包の容量縮小が検出できる。

理学療法のポイント


温熱療法や電気療法、ストレッチ、エクササイズなどの対症療法的に行う。システマティックレビューにおいて効果的であることが確認できている。
運動療法については疼痛が生じない範囲で行う方が効果的だという考え方が主流になりつつある。
急性期(炎症期)からの積極的な関節モビライゼーションは改善が得られたなったとあり、介入については時期を吟味する。

私なりの感想と鍼灸に出来ること

やや古い文献にはなるが、肩関節周囲炎について客観的に書かれていて参考になりました。この文献を見る限りでは手術よりもリハビリに集中するほうが有効とも受け取れるが、手術の技術は日々進化すると私は考えています。ただ、手術をするかどうかに関わらず、日々のメンテナンスが大事であることは全ての医療従事者が納得するところと考えます。肩関節周囲炎の際は、痛みが出ないようにすること、炎症反応を増加するようなことはしないこと、適度に運動すること、温めることが大事と(どの文献にも決まって)書かれており、いずれも鍼灸ができることと考えています。

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