肩関節の可動制限について
肩関節は全関節の中で最も広い可動範囲を有しており、 その代償として最
も不安定で脱臼しやすい関節でもあります。
その欠点を補うために、 肩関節はいくつもの筋肉に覆われており、関節包
や靱帯で連結されています。
そのため、可動域制限を有している場合はそれらの筋肉や関節包、靱帯の
短縮などが主な原因となる場合が多いです。
肩関節周囲炎では、痛みによる筋肉の防御的な収縮が主な原因で可動域が制限されます。この状態は、しばしば「五十肩」とも呼ばれ、特に中高年層に多く見られます。例えば、棘下筋が防御的に収縮していると、肩関節の内旋方向への動きが制限されます。これは、棘下筋が肩甲骨の背側に位置し、上腕骨の外旋を助ける役割を持っているためです。そのため、棘下筋が収縮すると、内旋の動きが抑制されます。
他の筋肉も同様の仕組みで動作が制限されるため、制限されている方向とは逆の動きを理解することで、どの筋肉に緊張があるのかを予測することが可能です。
廃用による制限が生じると、肩関節の屈曲や外転、外旋の動きが制限されやすくなります。これは、大胸筋や大円筋、小円筋が短縮しやすいためです。筋肉の短縮が原因で動きが制限される場合、ゴムチューブを引っ張ったときのような張り感を感じることがあります。筋肉のように伸び縮みしやすい組織を「収縮性組織」と呼び、関節包や靱帯のようにあまり伸びない組織を「非収縮性組織」と呼びます。非収縮性組織が関節の動きを制限する場合、動きの最後に少し硬い感じの抵抗を感じることがあります。
肩関節周囲炎で靭帯や関節包などの筋肉以外の要因で関節可動域が狭くなっている場合、鍼灸療法が有効なアプローチとなると考えます。鍼灸は肩周囲の血流を改善し、硬くなった組織をほぐすことで関節の動きを助ける効果があります。また、特定のツボに鍼を刺すことで痛みの伝達を抑制し、痛みを軽減することができます。さらに、鍼灸は炎症反応を抑え、肩関節周囲の炎症を軽減することで可動域の改善を促します。肩の動きがスムーズになることで、日常生活の動作が楽になります。鍼灸は免疫機能を高め、組織の修復を助ける効果もあるため、肩関節周囲の回復を促進することが期待されると考えます。
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