腕神経叢
目次
はじめに
- 腕神経叢(わんしんけいそう)は、脊髄神経から分岐し、頭部、首、上肢に繋がる神経網です。
- 第5頚神経から第1胸神経までの神経根が集まり、鎖骨と第1肋骨の間を通り、上肢へと神経を供給します。
- 腕神経叢は、根、幹、部、束の4つの領域に分かれています。
- 主な神経には、筋皮神経、正中神経、尺骨神経、橈骨神経、腋窩神経があります。
- 腕神経叢は、肩、肘、手首、手指の運動と感覚を支配しています。
腕神経叢の構造
- 腕神経叢は第5頚神経から第1胸神経の前枝から構成されます。
- 根、幹、部、束の4つの領域に分かれています。
- 外側神経束、後側神経束、内側神経束に分かれ、それぞれが異なる神経を形成します。
- 筋皮神経は外側神経束から、尺骨神経は内側神経束から伸びます。
- 橈骨神経と腋窩神経は後側神経束から分枝します。
腕神経叢の機能
- 腕神経叢は肩、肘、手首、手指の運動を制御します。
- 感覚神経として、上肢の皮膚感覚を脳に伝えます。
- 筋皮神経は上腕筋、上腕二頭筋、烏口腕筋に分布し、肩や肘の屈曲に関与します。
- 正中神経は手の動きや感覚に重要な役割を果たします。
- 尺骨神経は手の内側を走り、手指の細かい動きを制御します。
腕神経叢損傷の原因
- 交通事故やスポーツ事故による外傷が主な原因です。
- 分娩時の過大な牽引力による損傷もあります。
- 腫瘍や放射線障害が原因となることもあります。
- 肩関節の脱臼や鎖骨骨折による損傷も報告されています。
- 機械に腕が巻き込まれる事故も原因の一つです。
腕神経叢損傷の症状
- 上肢のしびれや運動麻痺が見られます。
- 肩の挙上や肘の屈曲ができなくなることがあります。
- 手指の運動が全くできなくなる場合もあります。
- 感覚障害や自律神経障害が現れることがあります。
- ホルネル徴候(眼瞼下垂、眼裂狭小、瞳孔縮小)が見られることもあります。
腕神経叢損傷の治療
- 自然回復が期待できない場合は神経移植術が行われます。
- 神経根の引き抜き損傷には肋間神経や副神経の移行術が行われます。
- 肩の機能再建術として肩関節固定術や多数筋移行術があります。
- 肘関節の屈曲機能再建には大胸筋や広背筋の移行術が行われます。
- 全型例には神経・血管茎付き遊離筋移植が行われることもあります。