長母趾屈筋
③長母趾屈筋
起始 腓骨後面の下部2/3, 下腿骨間膜の腓骨側
停止 母趾の末節骨底
作用
- 距腿関節:底屈
- 距骨下方の関節 (距踵関節 + 距踵舟関節): 内反(回外)
- 母趾の中足趾節関節, 趾節間 (IP) 関節: 底屈
- 内側縦足弓の保持
神経支配 脛骨神経 (L5-S2)
目次
はじめに
- 長母趾屈筋は、腓骨の後面に位置し、ふくらはぎの深層筋膜の下にある強力な筋肉です。
- この筋肉は、主に母趾の屈曲を担当し、足部の外在筋として機能します。
- 長母趾屈筋腱は、足底に入り、母趾の末節骨底に停止しますが、他の趾にも分岐することがあります。
- 支配神経は脛骨神経で、足部の筋肉の神経支配を行います。
- 長母趾屈筋は、足関節の底屈を補助し、足部内側アーチの維持にも貢献します。
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起始と停止
- 起始: 腓骨後面の下部2/3と下腿骨間膜の腓骨側。
- 停止: 母趾末節骨底に停止するが、他の趾にも分岐することがある。
- 長母趾屈筋腱は、足底に入り、スプリング靱帯の表層を通過します。
- 母趾の線維性鞘に入り、2つの種子骨の間を通過します。
- 停止部のバリエーションがあり、全趾に停止する可能性もあります。
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支配神経
- 支配神経: 脛骨神経が長母趾屈筋を支配します。
- 脛骨神経は、内側足底神経と外側足底神経に分かれます。
- 脛骨神経の後枝は、後脛骨筋、長趾屈筋、長母趾屈筋、ヒラメ筋の深部を支配します。
- 脛骨神経は、坐骨神経の2つの筋枝のうち、より大きな末端枝です。
- 脛骨神経の膝窩枝は、後脛骨筋、上脛腓関節、下脛腓関節、脛骨、脚の骨間膜を支配します。
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機能と役割
- 長母趾屈筋は、母趾の屈曲を主な作用とします。
- 足関節の底屈を補助し、足部内側アーチの維持に貢献します。
- つま先立ちの際に、第1中足骨頭を安定させ、母趾遠位端を地面に接触させる役割があります。
- 足が地面から上がる際に、母趾を屈曲させる作用があります。
- 距骨の骨折は、長趾屈筋腱や長母趾屈筋腱の巻き込みなどの異常を引き起こすことがあります。
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関連する障害
- 長母趾屈筋腱障害は、ダンサーに多く見られます。
- 長母趾屈筋機能不全は、足底屈および安定化の繰り返しによって生じます。
- 長母趾屈筋腱炎は、足関節後部のインピンジメントにより生じることがあります。
- 筋の短縮や癒着があると、距骨の後方移動を制限し、足関節背屈を制限します。
- 長母趾屈筋の硬さによる足背屈制限や、足部内在筋の活動に対する代償動作が生じることがあります。
治療とリハビリ
- 長母趾屈筋の筋力強化には、タオルやセラバンドを使用した運動が有効です。
- ストレッチは、母趾を伸展させ、足首を背屈させることで行います。
- 芝生や砂地などの異なる路面を歩いたり走ったりすることで、長母趾屈筋の機能を高めることができます。
- 長母趾屈筋の触診は、内果の後方で腱を触れることができます。
まとめ
足の長母趾屈筋は、動物の進化、バレエダンサーのパフォーマンス、そして筋肉のバランスにおいて重要な役割を果たしています。まず、哺乳類の進化において、この筋肉は樹上生活をする動物が木の枝をしっかり掴むために発達しました。人間もこの筋肉を保持し、歩行や走行に適応しています。親指の動きに関与し、地面を蹴る際に力を集中させるため、歩行能力を支える重要な要素となっています。
次に、バレエダンサーにとっては、この筋肉が足の親指の屈曲を助け、バレエシューズ内での安定性を提供します。ダンサーは特定のエクササイズを通じて筋肉を強化し、柔軟性と持久力を高めることが求められます。これにより、より美しく優雅な動きが可能となり、怪我のリスクも軽減されます。
さらに、長母趾屈筋と他の足の筋肉とのバランスは、健康な足の機能に不可欠です。過度に強化されるとアンバランスが生じ、痛みや障害の原因となることがあります。適切なストレッチとトレーニングにより、他の筋肉と調和させることが重要です。スポーツ選手やダンサーは、バランスを保つことでパフォーマンスを向上させ、怪我を予防しています。このように、足の長母趾屈筋の理解は、人間の動きや健康に対する新たな洞察を提供します。