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前庭神経炎

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前庭神経炎とは

前庭神経炎は、内耳に位置する神経が何らかの形で障害を受け、突然に強いめまいをはじめ、吐き気や嘔吐などの症状を引き起こす疾患です。この病気によるめまいは、患者が静かに横になっていても症状が軽減されることは少なく、身体を動かすと症状がさらに悪化する傾向にあります。風邪に似た症状が出た後にこの病気が発症するケースが多いため、ウイルス感染が引き起こすことが一因とされていますが、その具体的な原因はまだ明らかにされていません。

関連疾患

脳卒中によるめまいやその他の重篤な脳の障害に見られるような、意識の喪失や言語障害、四肢の麻痺といった深刻な症状は伴わないため、前庭神経炎自体が直接命にかかわることはありません。しかしながら、強烈なめまいが発生するため、多くの患者が救急車での搬送を必要とし、病院での入院治療を受けることになります。

前庭神経炎と他の耳の疾患との区別において、例えば良性発作性頭位めまい症は、患者が安静にしているとめまいや吐き気の症状が軽減するのに対し、前庭神経炎では安静にしていても症状の改善が見られにくいという特徴があります。また、メニエール病ではめまいの発作とともに難聴や耳鳴りが生じる場合がありますが、前庭神経炎ではこれらの追加的な症状は現れません。

治療法

治療法としては、めまいや吐き気の症状を和らげるための薬物療法や、神経の炎症を抑えるためのステロイド薬の使用が一般的です。特に、吐き気や嘔吐が激しい場合には、患者の脱水状態を防ぐために点滴による水分補給治療が施されることもあります。これらの治療により、多くの患者は症状の改善を見込むことができます。

原因について

前庭神経炎の主な原因は、ウイルス感染によるものと考えられています。特に、単純ヘルペスウイルスや風邪ウイルスなどが関連していることが多いです。これらのウイルスが内耳の神経に影響を及ぼし、炎症を引き起こすことによって、めまい、吐き気、嘔吐などの症状が現れます。

また、ウイルス感染だけでなく、自己免疫反応が原因である場合もあるとされています。つまり、体の免疫システムが誤って内耳の神経を攻撃してしまうことも、前庭神経炎の原因となり得ます。

しかし、前庭神経炎の正確な発症機序はまだ完全には解明されていません。感染症後に症状が現れることが多いため、ウイルス感染が大きな役割を果たしていることは間違いないと考えられていますが、それに加えて個人の免疫反応や遺伝的要因など、複数の要因が絡み合って発症する可能性があります。

症状が出た時について

めまいが発生した時には、まず落ち着いて安静にすることが重要です。この状態では、慌てずにじっとしていることで、自然と症状が改善されることが多いのです。しかし、これはあくまで軽度のめまいに限られる話であり、重大な症状が伴う場合には、この限りではありません。重大な症状が見られない場合でも、安静にしていても症状が改善しない時は、専門の医師による診察を受けることが非常に重要です。めまいは様々な原因によって引き起こされるため、適切な診断と治療が必要になります。

特に、内耳の神経に炎症が起こる前庭神経炎は、適切な治療を行うことで回復が見込める症状の一つです。この症状に対しては、ステロイドの投与が一般的な治療法として用いられます。しかし、治療の開始が遅れると回復に時間がかかる可能性があるため、症状が現れたら早めに病院を訪れることが大切です。

診断の際には、めまいが脳卒中などの重篤な疾患の兆候でないか、また、耳鳴りや聞こえにくさといった他の症状の有無を確認します。さらに、眼球の異常な動きをチェックするほか、カロリックテストという特別な検査を行って前庭神経の機能を評価することがあります。ただし、この検査は発作時には実施されないことが多いです。

めまいには回転感を伴うタイプがあり、この場合、約1週間程度で大きな改善が見られることが一般的です。しかし、歩行時の不安定感など、一部の症状はもう少し長く続くことがあります。症状が軽減した後は、リハビリテーションの一環として、積極的に体を動かすことが勧められます。適度な運動は、めまいの回復を促進し、再発のリスクを減らすのに役立ちます。

予防について

前庭神経炎はウイルス感染が原因とされていますが、その全てが明らかになっているわけではなく、完全な予防方法はありません。しかし、この病気について知っていることで、無用な心配を減らすことができます。

大切なのは、脳卒中などのより深刻な病気と区別することです。前庭神経炎では、意識を失ったり、話すことができなくなったり、手足が動かせなくなるような症状は現れません。また、強い吐き気や嘔吐は、この病気のめまいの症状から来るものです。これらを理解し、冷静に対処しましょう。

急性期が終わっても、しばらくの間はふらつきが続くことがあります。この状態は、耳の前庭系、目の視覚系、足の裏の感覚系からの情報が脳で統合されてバランスが取れているためです。そのため、発作後はめまいのリハビリが重要になります。

この病気によるめまいが強い発作を繰り返すことはないものの、ふらつきなどの症状が長引くことがあります。そのため、辛抱強くリハビリを続けることが必要です。

前庭神経炎の再発を完全に防ぐ確実な方法はありませんが、再発リスクを減らすためにいくつかの対策を講じることができます。以下にその対策を示します。

健康的な生活習慣の維持:

免疫システムを強化するために、バランスの良い食事、十分な睡眠、定期的な運動を心がけましょう。

ストレス管理:

長期的なストレスは免疫系に悪影響を与えることがあります。リラクゼーション技法、趣味の時間、適度な運動などでストレスを管理しましょう。

感染症からの保護

前庭神経炎がウイルス感染によって引き起こされる可能性があるため、手洗いや感染症が流行している時期には人混みを避けるなど、感染症予防の基本的な対策を講じることが重要です。

定期的な健康診断

既存の健康問題や新たな健康リスクを早期に発見するために、定期的な健康診断を受けることが推奨されます。

めまいのリハビリテーション継続

一度前庭神経炎を経験した人は、平衡感覚を改善するためのリハビリテーションを継続することが有効です。これには、平衡感覚を訓練する特定の運動が含まれます。

これらの対策は再発を完全に防ぐ保証はありませんが、健康を維持し免疫システムを強化することで、再発のリスクを減らすことができる可能性があります。また、これらの対策は全体的な健康と幸福にも寄与します。

最後に

鍼灸は、めまいや吐き気などの症状を和らげることが報告されています。またストレスは、前庭神経炎の症状を悪化させる可能性があります。鍼灸はリラクゼーションを促し、ストレスを軽減する効果があるとされています。おからだオンラインでは心と身体のバランスを整え、あなたの健康をサポートしますのでお気軽にご連絡ください。

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