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糖尿病腎症

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糖尿病腎症とは

糖尿病腎症とは、糖尿病が長期間にわたって血糖値の管理が不十分であることによって引き起こされる、腎臓の機能障害を指します。腎臓は、血液中の老廃物や余剰な水分をろ過し、尿として体外に排出する重要な器官です。しかし、糖尿病の状態が続くと、血糖値の持続的な上昇が腎臓の微細な血管にダメージを与え、その結果、ろ過機能が徐々に低下していきます。この機能が低下すると、タンパク質が尿中に漏れ出し、さらには腎臓自体がその働きを全面的に停止させる可能性もあります。このような状態が進行していくと、腎不全や尿毒症といった命に関わる深刻な問題に発展する危険性が高まります。

https://dm-net.co.jp/calendar/2014/021225.php より引用

早期発見について

糖尿病腎症の初期段階では、特に目立った自覚症状がないため、発見が遅れがちです。しかし、病気が進行するにつれて、尿にタンパク質が大量に含まれるようになり、体に水分が溜まってむくみやすくなる、常に疲れやすい、などの症状が現れ始めます。さらに症状が悪化すると、食欲が落ちて体重が減少する、むくみがさらにひどくなるなど、より一層の健康問題が生じ、最終的には患者の生活の質を大きく低下させ、透析治療の必要性が出てくる場合もあります。

診断について

診断にあたっては、尿検査と血液検査が中心となります。尿検査によって尿中のタンパク質の排出量を調べ、血液検査では腎臓のろ過能力を示すクレアチニンの数値や、腎臓の機能低下を示すその他のマーカーをチェックします。これらの検査結果をもとに、医師は糖尿病腎症の存在や進行度を判断し、適切な治療計画を立てます。

治療について

治療の基本は、血糖値の厳格なコントロールにあります。これには、食生活の見直しや適度な運動、そして必要に応じて血糖値を下げる薬剤の使用が含まれます。また、糖尿病腎症の患者さんには高血圧や高コレステロール血症が伴うことが多いため、これらの症状に対する治療も合わせて行うことが重要です。病気が進行した場合には、血圧を下げる薬や、体内の毒素を排出するための薬剤が処方されることがあります。

まとめ

糖尿病腎症は、糖尿病によって引き起こされる重大な腎臓の合併症の一つであり、糖尿病患者にとって深刻な健康問題をもたらす可能性があります。この病気は、腎臓の機能が徐々に低下し、最終的には透析や腎移植が必要となる場合もあります。しかしながら、初期段階では特有の症状がほとんど表れず、多くの患者が自分がこの病気に罹患していることに気づかないままです。このような状況を避け、早期発見・早期治療を実現するためには、定期的な健康診断が非常に重要となります。具体的には、尿中のアルブミンの検査や血液検査を通じて腎機能の低下を確認し、医師が適切な診断を下すことが推奨されています。

糖尿病の治療における重要な目的の一つは、将来的に起こり得る糖尿病腎症を含むさまざまな合併症を未然に防ぐことです。これを達成するためには、血糖値を日々管理し、正常範囲内に保つことが極めて重要です。血糖値のコントロールだけでなく、糖尿病患者が高血圧や脂質異常症などの他の疾患を抱えている場合、これらの疾患も同時に適切に管理・治療する必要があります。なぜなら、これらの疾患は糖尿病腎症の進行を加速させる可能性があるからです。加えて、健康的な食生活、特に塩分の摂取を控えることが、腎機能の保護に非常に効果的であることが多くの研究で示されています。塩分の過剰な摂取は高血圧を引き起こし、それが腎臓に負担をかけ、糖尿病腎症のリスクを高めるためです。これらの生活習慣の改善を通じて、糖尿病患者は健康を維持し、腎機能の低下やその他の合併症のリスクを最小限に抑えることが可能となります。

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