認知症
認知症とはこんな病気
認知症とは元々正常だった認知機能(記憶や判断を行う機能)が何らかの理由で低下することで生活に支障が出るようになった状態です。多いのはアルツハイマー型認知症、レビー小体型認知症、脳血管性認知症の三つです。
認知症の症状
認知症の症状は、脳の障害により直接引き起こされる中核症状と、それに環境や人間関係等が関係して発生する周辺症状に分類されます。
中核症状の例
- 記憶障害(ものを覚えることができなくなる)
- 見当識障害(時間と場所が分からなくなる)
- 実行機能障害(買い物をして料理を作るなど段取りが立てられなくなったり、複数の動作を同時にこなすことができない)
- 失行(テレビをつける等日常の動作が出来ない)
- 失認(認識できないこと。ハサミを見ても何なのか分からない)
- 失語(言葉を失う障害のこと。読んだり書いたり話したり、理解することが困難になる。)
- 理解力・判断力の低下(理解に時間がかかったり適切な判断が困難になる。)
周辺症状の例
- 暴言・暴力(納得できなかったり尊厳が傷つけられたと感じるとそうしてしまう。)
- 介護拒否・服薬拒否(理解できないことで拒否することがある。)
- 徘徊(事件や事故に巻き込まれる恐れがあるため注意が必要、見当識障害が進むことで現れる。)
- 妄想(現実にはあり得ないことを強く思い込む。お金を取られてた、いじめられたなどが代表的。認知症による不安や焦りが要因と言われている。)
- 無気力・抑うつ・不安(認知機能の低下で出来ないことが増えるから不安になったり気分が落ち込んだりする。)
- 幻覚・錯覚(認知機能の低下によって起こると言われている。いないはずの子どもが遊んでいる)
早期発見のポイント
物忘れには「加齢による物忘れ」と「病的な物忘れ」があり区別して考えます。うっかり忘れてしまうことは健康な人でもよく経験します。「加齢による物忘れ」は一部を忘れますが「病的な物忘れ」は丸っと忘れてしまう特徴があります。例えば、友人との食事の約束をうっかり忘れてしまうのは「加齢による物忘れ」で約束したこと自体を覚えていないのが「病的の物忘れ」です。あとから食事の内容を忘れてしまうのは「加齢による物忘れ」で、食事したこと自体を忘れて食後すぐに注文をするのは「病的な物忘れ」です。「公益社団法人認知症の人と家族の会」が作成した「家族がつくった認知症早期発見のめやす」があるので参考にしてください。病的な物忘れが目立つ場合は早めの受診するほうがいいでしょう。
「認知症早期発見のめやす」はこちらをクリック
●物忘れがひどい |
□今切ったばかりなのに、電話の相手の名前を忘れる |
□同じことを何度も言う・問う・する |
□しまい忘れ置き忘れが増え、いつも探し物をしている |
□財布・通帳・衣類などを盗まれたと人を疑う |
●判断・理解力が衰える |
□料理・片付け・計算・運転などのミスが多くなった |
□新しいことが覚えられない |
□テレビ番組の内容が理解できなくなった |
●時間・場所がわからない |
□約束の日時や場所を間違えるようになった |
□慣れた道でも迷うことがある |
●人柄が変わる |
□些細なことで怒りっぽくなった |
□周りへの気づかいがなくなり頑固になった |
□自分の失敗を人のせいにする |
□「このごろ様子がおかしい」と周囲から言われた |
●不安感が強い |
□ひとりになると怖がったり寂しがったりする |
□外出時、持ち物を何度も確かめる |
□「頭が変になった」と本人が訴える |
●意欲がなくなる |
□下着を替えず、身だしなみを構わなくなった |
□趣味や好きなテレビ番組に興味を示さなくなった |
□ふさぎ込んで何をするのも億劫がりいやがる |
予防について
認知症を発症すると生活に様々な支障が生じるため、予防がとても大切です。
- 生活習慣病の予防・治療 生活習慣病を改善することで認知症の発症を抑えることができます。例えば、高血圧、脂質異常症、肥満、糖尿病などは脳梗塞等の危険因子なので、これらを管理することで脳血管認知所の発症予防になります。アルツハイマー型認知症についても糖尿病など、生活習慣病に関与していると言われています。
- 適度な運動とバランスのとれた食生活 適度な運動習慣は発症の予防と進行の抑制に有効と言われています。歩いたり走ったり泳いだりといった運動は脳血管と脳神経にいい影響を与えると言われています。食生活において、バランスのよい食事は健康な生活を送る上で重要です。生活習慣病を予防するために、カロリーと塩分を控えましょう。また、魚はEPAやDHAと言われる不飽和脂肪酸が含まれるため認知症予防につながると言われています。
- 外出する 家の外に出て社会生活に参加することは認知症予防に有効です。身だしなみを整えて準備する、時間に間に合うように段取りをするなど、脳に様々な刺激を与えます。趣味の集まりやボランティアなど何でもいいと思います。積極的に参加してください。
こちらも見てください