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マウスの社会的敗北場面を利用した心理的ストレス負荷モデル

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要約

長期間のストレスは、うつ病などの精神疾患のリスクを高めることが知られています。うつ病は、悲しみや喜びを感じることが難しくなる、集中力が落ちるなどの心の問題や、睡眠や食欲に関する問題など体の症状によって特徴づけられます。生涯で約6人に1人がうつ病にかかるとされており、現在利用されている治療薬は効果が現れるまで時間がかかり、全ての人に効果があるわけではありません。このため、うつ病の原因や仕組みを深く理解し、新しい治療法を開発することが重要視されています。

この論文では、社会的な敗北を目の当たりにするだけでマウスが心理的ストレスを感じ、それが特定の脳内の神経伝達メカニズムを通じて行動の変化を引き起こすことを示しています。これは心理的ストレスがどのようにして脳内で情動行動に影響を与えるかを理解する上で重要な手がかりとなります。また、人間のストレスや不安障害の治療法開発に向けた貴重な情報を提供することが期待されています。

この研究の注目点は、社会的失敗を目の当たりにすることで引き起こされる心理的ストレスが、身体的な痛みを伴わないということです。これにより、精神的ストレスに関連する脳の働きをより深く理解することが可能となり、さらに、うつ病と免疫反応の関係を探る際にも有効な手段となります。このような心理的ストレスの研究モデルを活用することで、ストレスが感情に与える影響についての理解が深まり、新しい精神疾患治療薬の開発に繋がることが期待されています。

私の感想

社会的敗北という題名がインパクトありますが、ストレスがかかると脳の神経がどうなるかをマウスを使って実験しています。暴力を見たらマウスもつらいのだということを示しています。時間が経ってから症状が出てくるのも興味深いです。疲労と向き合う鍼灸師の私としてはストレスとは何かはメインテーマの一つです。興味深い論文だったので紹介しました。報酬回路という単語がもしかして分かりづらいかもですが、簡単に言うと、報酬回路は私たちが「幸せ」や「満足感」を感じるための脳のシステムで、日常生活での健康や生存に必要な行動を促進する役割を持っています。ある程度のストレスは必要だとは思うけれど、どうストレスを消化するかは大事だなと改めて思いました。

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